花まんま (2025):映画短評
花まんま (2025)
ライター2人の平均評価: 4
ファンタジーの中に庶民性が息づく
ファンタジー風の作りだが、基本は上方ヒューマンドラマ。兄と妹の家族の絆を主軸にして、人情味のあるストーリーを展開させる。
クライマックスの結婚式は、わかっていても泣けるつくり。ベタを許容するだけの肉体性と個性を持つ鈴木亮平が、みごとに見せ場をさらってしまう。
冒頭の夢の場面でジェンダーうんぬんと言っていた少年が、後に家父長制を象徴するような主人公になっている。その意味を考えつつ観たりもしたが、最後は力技で押し切られたような。理屈はともかく、市井の人々のファンタジーに素直に涙したい。
ちょっとずるいですが
親代わりに妹を育て兄が、嫁いでいく妹を見届ける。その一方で妹にはある秘密があって…。というまぁ最初から泣かせに来ている点がありありと分かるのですが、それでもジーンと来てしまったのでこの映画の勝ちですね。クライマックスの結婚式は兄のスピーチから秘密の分もかぶせてくるというちょっとずる過ぎる展開です。ただ、それが嫌味にならないのはやはり鈴木亮平と有村架純という組み合わせが良かったと言えるでしょう。根が関西人の二人は物語の世界観にすんなりと溶け込んでいます。また脇を固める鈴鹿央士とファーストサマーウイカの好演も印象的です。