邪悪な国のアリス (2023):映画短評
邪悪な国のアリス (2023)流行の童話スプラッターとは一線を画する幻想奇談
『プー』シリーズを筆頭に童話の残虐ホラー化の動きが目立っているが、『不思議の国のアリス』を翻案した本作はテイストか異なる。
基本は、森の一軒家に住む祖母に引き取られたヒロインの孤児アリスの幻想体験。そこで出会うのは謎の姉妹や殺人鬼、そして何かを知っているらしきマッドハッター。一方で、優しい祖母の不審な行動が徐々に目立ってくる。
『プー』のような血なまぐささとは無縁で、陰鬱な色彩と、イビツなキャラクターで暗黒の世界を演出。絵的な派手さはないが、物語の特性を生かしたイマジネーションの異様さで押しとおす。アリスにふんしてダークな世界に火を灯す新星L・ウィリス頑張りが光った。
この短評にはネタバレを含んでいます