うってつけの日 (2023):映画短評
うってつけの日 (2023)何気ない日常の中で、何かが確実に変わる
別れた男女の再会の数日間を描いた本作。ドラマチックなことは何も起こらない。それでも確かに沁みてくるものがある。
感情があらわになる瞬間は皆無。“なんか~”“そっか”“ありがとう”などの、ごく普通の会話が積み重なるリアル。ヒロインがつくり出す音楽の反復ビートにも似た何気ない日常の積み重ね。スケッチを連ねたような俊英、岩﨑敢志の演出が滋味深さを醸し出す。
ヒロインの表情のかすかな変化や、キーアイテムとなる“車”の意味を読み取ると、本作はより味わい深いものになるはず。静かな語り口ゆえに、胸を揺さぶられる好編。
この短評にはネタバレを含んでいます