ピアノ・レッスン (2024):映画短評
ピアノ・レッスン (2024)デンゼル息子の実直な演出で、思わぬ展開も許容させる
父デンゼルと長女がプロデューサー、次男が監督、長男が主演、次女がワンシーン登場…と“ワシントン家”の絆に感心する本作は、かつて奴隷だった先祖とピアノを巡るドラマが、差別問題に向き合うメッセージ性の強いものと思わせつつ、そっちに行き過ぎないのが逆に新鮮かも。1930年代アメリカ南部での言葉づかいも丁寧に再現し、空気感にすんなり没入可。
これが初の長編監督となる次男の演出は安定感満点。的確なカメラワークと編集、じっくりと見せる会話シーンに才能を実感させつつ、ホラー的なテイストの挿入、ロマンチックな瞬間の優しさなどで個性を発揮。クライマックスの別次元ムードに驚くも、ポイントがつかみづらい弱点はある。
この短評にはネタバレを含んでいます