サイレントナイト (2022):映画短評
サイレントナイト (2022)
ライター2人の平均評価: 3.5
まさかのクロックワークス配給作の系譜!
CIAの分析官どころか、ダサセーターが似合うおっさん。そんな『アマチュア』よりアマチュアが、1年後のクリスマスイブに標準合わせて、殺しの訓練に励むジョン・ウー監督作。『狼よさらば』に代表されるヴィジランテものといえるが、主人公が声帯を失う設定だけに、ジョエル・キナマンが無声状態。マルコ・ベルトラミの劇伴に併せ、ときにスタイリッシュに、ときに泥臭くリアルに肉体の動きだけで魅せ切る。実験作なのに、妙にしっくりくる懐かしさ。そういう意味では、偶然にも『ロボット・ドリームズ』『ビーキーパー』『トワイライト・ウォリアーズ』を連続ヒットさせたクロックワークス配給作の系譜ともいえる!
ジョン・ウーおなじみの「鳩」が、まさかの…
並走する車での銃撃や、ここぞという場面の二丁拳銃、過激な炎上、そして主人公が満を持してカッコよく羽織るレザーコートなど香港時代からハリウッド大作に渡る、ジョン・ウーの得意技&美意識がエッセンスとして込められつつ、何も知らずに観たら彼の作品とは判断できない。そんなバランス感で一本の映画として成立した。
主人公が銃撃の負傷で声が出なくなり、全編ほぼセリフゼロ。人間の声はラジオや警察の無線のみという作りで、映画全体が研ぎ澄まされた印象に。主人公の復讐への準備もストイックさと真剣味が倍増される。
ジョン・ウー監督作で誰もが期待する「鳩」は今回、出てくるのか? 深読みしたくなる変化球…とだけ言っておく。