ADVERTISEMENT
小学生には助言・指導が必要
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン (2023)

2023年10月20日公開 206分

話題作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の評価は?

編集者レビュー

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
(c) Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』2023年10月20日公開

 デイヴィッド・グランのノンフィクション本「花殺し月の殺人--インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を実写化したサスペンス。石油を採掘したアメリカ先住民の部族から富を奪おうとたくらむ白人たちの姿を、ある男女の恋を絡めながら描く。監督は『沈黙 -サイレンス-』などのマーティン・スコセッシ。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などでスコセッシ監督と組んできたレオナルド・ディカプリオのほか、ロバート・デ・ニーロジェシー・プレモンスリリー・グラッドストーンらが出演する。

ADVERTISEMENT

編集部・市川遥 評価:★★★★★

 巨匠マーティン・スコセッシ監督が『アイリッシュマン』に続き、再びアメリカ史の闇に切り込んだ超大作。捜査官側からの視点で2年間執筆していたという脚本を、6度目のタッグとなるレオナルド・ディカプリオからの提案を受け、先住民たちの懐に深く入り込み、彼らを搾取する側からの視点で書き直したことが、この映画を名作へと押し上げた。監督と俳優という関係を超え、プロデューサー同士としても、スコセッシ監督とレオの関係が唯一無二のものになっていることをあらためて感じる。

 当時の白人の強欲さをアーネストという男に投影し、演じ切ったレオはやはり一流だ。悪びれることなく罪を重ねる軽薄な姿が、欲望にとことん弱い人間のどす黒い部分と、根底にこびりついた差別意識をこれでもかと浮かび上がらせる。アーネストに指示を与える叔父役のデ・ニーロも、さえ切った演技で、悪事を正当化して信じ込んでしまえる人間の恐ろしさを体現した。そしてアーネストの先住民の妻、モリー役のリリー・グラッドストーンの名演も圧倒的。憂いをたたえた大きな瞳は、観る者の脳裏に焼き付いて離れない。

編集部・浅野麗 評価:★★★★

 レオナルド・ディカプリオと巨匠マーティン・スコセッシ監督、6度目となるタッグ作にロバート・デ・ニーロががっつり絡む、否応なしに期待が膨らむ本作。その魅力は、何といっても演者たちだろう。ディカプリオのどうしょうもないクズ野郎ぶりは、やっていることは全然愛せないのだが、どこか“愛すべきクズ野郎”なキャラクターが見事なハマりっぷりで目が離せなくなる。またひたすらにクズ人間を演じるデ・ニーロもすごい迫力だ。一見良識的ながら欲にまみれた根っからのクズ、ある意味でとても人間的な狂気を自然に表現しており、さすがの貫禄だ。この2人が演じるキャラクターの醸し出す人間臭さは、この物語が史実であったことの恐ろしさも同時に感じさせる。

 さらに、そんな2人に割って入り、強烈な印象を残しているのがリリー・グラッドストーン。穏やかで器の大きな、愛情深い女性モリーを静かに演じ切り、彼女が受けた想像を絶する深い悲しみ、魂の強さを伝えてくれている。見応え満点の演技合戦で3時間を超える上映時間は観てしまえばあっという間だが、見る前のハードルは高く、鑑賞者を選んでしまう可能性はある。

ADVERTISEMENT

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』あらすじ

 20世紀初頭のアメリカ・オクラホマ州。先住民族のオーセージ族は、石油を掘り当てて莫大な富を得るが、その財産を狙う白人たちが彼らに近づく。白人たちはオーセージ族を言葉巧みに操っては財産を次々と取り上げ、やがて命までも奪っていく。悪事が加速していく中、オクラホマを訪れたアーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)は、オーセージ族の女性モーリー・カイル(リリー・グラッドストーン)と出会って恋に落ちる。

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT