山田孝之&仲野太賀がW主演!集団抗争時代劇『十一人の賊軍』評価は?
編集者レビュー
『十一人の賊軍』2024年11月1日公開
『日本侠客伝』『仁義なき戦い』シリーズなどを手掛けた脚本家・笠原和夫のプロットを原案に描くアクション時代劇。江戸幕府から明治政府へと政権が移り変わろうとしていた戊辰戦争の最中、新発田藩(現・新潟県新発田市)で起きた抗争を映し出す。監督を手掛けるのは『碁盤斬り』などの白石和彌。『ステップ』などの山田孝之、『泣く子はいねぇが』などの仲野太賀が主演を務める。
編集部・香取亜希 評価:★★★★
白石和彌監督がメガホンを取り、山田孝之&仲野太賀がW主演を務める集団抗争時代劇。この組み合わせだけで血なまぐささと漢気あふれる作品であることが想像できる。がしかし、想像のさらに上をいく男たちの生きざまを見せつけられること請け合いだ。“十一人の賊軍”とは“十一人の罪人”であり、つまりは人道を外れた犯罪者たち。そんな彼らが生きるため、守るべきもののために文字通り“必死”になってもがくさまは、まるでヒーロー映画を観ているような錯覚に陥る。
R指定ではなくPG12作品だが、『孤狼の血』で知られる白石監督だけに、残虐描写のリアルさは折り紙付き。イケメン俳優がそろっているからと、安易な気持ちで観るととんでもない姿を目の当たりにすることになるので、覚悟を持って挑む必要はある。さらに、リアルさを追求する演出で、言葉のなまりにわかりにくい表現がある。だからこその本格時代劇ではあるが、ひと工夫欲しかったので★4つに留めた。
編集部・浅野麗 評価:★★★★★
「極悪女王」が好評だった白石和彌監督の最新作は、60年前に作られた幻のプロットを『孤狼の血』チームで映像化した集団抗争時代劇。激動の戊辰戦争とはいえ、新潟の小国での出来事を155分という長尺の時代劇であることから、二の足を踏みがちかもしれないが、迷うことなかれ。テンポの良さと適度な解説で早々にその不安を払拭し、すっと物語に引き込んでくれる。何より個性的なキャラクターたちがそれぞれに魅力的で、彼らがどんな関係性を築き、どんな化学反応を見せ、何をしでかすのか。そしてそれが物語に、彼らの人生にどう影響していくのか。幾度となく窮地を乗り越え、気付けばクライマックスを迎えている。
また、殺陣と火薬たっぷりの戦闘シーンも見応え十分。中でも、剣術の使い手を演じた仲野太賀は、本格的な殺陣アクションは初めてだったというが、気迫あふれる見事な立ち回りを見せており、その勇姿はまさに必見。加えて、長州出身の剣術家を演じる本山力の見せ場はカッコよく、心を奪われずにはいられない。
『十一人の賊軍』あらすじ
1868年、鳥羽・伏見の戦いをきっかけに、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍と、旧幕府軍による戊辰戦争が勃発する。そんな中、新政府に対抗するため、奥羽越列藩同盟が結成される。その同盟にやむなく加わった新発田藩では、藩に捕らえられていた11人の罪人たちが、決死隊としてとりでを守る任に就く。