アカデミー賞授賞式でのアジア人差別ジョークが波紋…アン・リー監督らが抗議
第88回アカデミー賞
現地時間2月28日に開催された第88回アカデミー賞授賞式でアジア人に対する「趣味の悪い、侮辱的な」ジョークがあったとして、映画『ブロークバック・マウンテン』と『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』で2度のアカデミー賞監督賞に輝いたアン・リー監督や「スター・トレック」シリーズのジョージ・タケイら25名のアジア系アカデミー会員たちが、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーに抗議の手紙を送った。The Hollywood Reporter などが報じた。
【写真】問題となっている場面…アリ・Gにふんしたサシャ・バロン・コーエン
問題となっているのは、司会のクリス・ロックがアカデミー会員の投票を集計する会計士としてアジア人の子供たちを紹介するという、“アジア人は数学が得意”というステレオタイプを強調した寸劇と、プレゼンターを務めた『アリ・G』のサシャ・バロン・コーエンが「なぜ彼らのためのオスカーがないんだ。とても勤勉で、ちっちゃな性器のついた黄色い人たちに」(その後、「わかるでしょ? ミニオンズのことさ」と続けている)というジョークだ。
リー監督らが映画芸術科学アカデミーに宛てた手紙には「#OscarsSoWhite(白すぎるオスカー)への批判が上がっていたことを考慮に入れると、今年の授賞式は多様性を表現することでアカデミーを前進させる機会になると考えていましたが、実際は理解のないアジア人に対する描写によって損なわれてしまいました。われわれは、どうしてこんな趣味が悪く侮辱的な寸劇が授賞式で行われたのか、また、今後、どのようにしてこのような差別が起こらないようにするのかを知りたいと思っています」とつづられている。
映画芸術科学アカデミーはすぐにこれに反応。「アカデミーは懸念を知らせてくださったことに感謝するとともに、どんな要素であっても授賞式が侮辱的なものになってしまったことを遺憾に思っています。今後の授賞式では、もっとそれぞれの文化に配慮できるよう、全力を尽くします」とコメントしている。(編集部・市川遥)