松岡茉優、カンヌ会見で突然の涙…樹木希林の存在の大きさに
第71回カンヌ国際映画祭
現地時間14日、第71回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門出品作『万引き家族』の公式会見が行われ、是枝裕和監督が祖母役の樹木希林の存在の大きさについて語る中、キャストの松岡茉優が突然大粒の涙を流す一幕があった。
『万引き家族』は、死んだ親の年金を不正に受給していた家族が逮捕された事件に着想を得て、犯罪でしかつながれなかったある家族の姿から“本当の絆”とは何かを問う人間ドラマ。会見には是枝監督と、一つ屋根の下に暮らす祖母役の樹木、父役のリリー・フランキー、妻役の安藤サクラ、その妹・亜紀役の松岡、子役の城桧吏(じょう・かいり)君、佐々木みゆちゃんという“万引き家族”が勢ぞろいした。
『海よりもまだ深く』『海街diary』『そして父になる』をはじめ何度も樹木を起用する理由について質問された是枝監督は、「僕は自分が作るものを希林さんが出ていただけるものにするために、努力をしています」と大女優の樹木に恥じない作品にしようとすることでより力を出せているとコメント。本作においては、最初に撮った夏の海のシーンでの樹木のアドリブが作品全体の鍵になったという。
「希林さんが、サクラさん演じた信代に言う『きれいね』というセリフ、そして海辺の家族を見ながら口の動きだけで伝えるある言葉は、台本にはありませんでした。僕はこの二つをキーワードにして脚本を直していきました。それが、サクラさんをどういう風に撮るか、信代からどういう美しさを導き出すかという演出の指針にもなりました。希林さんはそうしたことをさらっと演技の中でしてくれるのです。彼女の作品に向き合う姿勢にはいつも助けられていますし、頭が下がる思いでいっぱいです」
そう熱く語る是枝監督の言葉を聞きながら、大粒の涙を流し始めたのは、樹木演じる祖母を「おばあちゃん」と慕う亜紀役の松岡だ。共演した樹木の存在の大きさをあらためて認識して感極まってしまったといい、何度も涙をぬぐい、目を真っ赤にしていた。
松岡にとって亜紀役は運命的なものがあったそう。子役時代、同じく子役だった妹(先に妹がスカウトされたことが松岡が女優になったきっかけ)と同じ役を争う複雑な関係だったため「亜紀ちゃんも自分の妹との確執がある役柄で、きっと何かが引き合わせてくれたのだと思う。今回子供の時に優しくできなかった本当の妹に対する思いを、みゆちゃんが演じてくれたりんへの優しい気持ちで返すことができたので、この作品でカンヌに来られたことを本当に幸せに思っています」とコメント。この会見でも隣に座ったみゆちゃんにまるで本当の姉のように世話を焼き、優しい顔を見せていた。(編集部・市川遥)
映画『万引き家族』は6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開