彼女たちの革命前夜 (2019):映画短評
彼女たちの革命前夜 (2019)ライター2人の平均評価: 3
50年前に声を上げてくれていた女性たちがいた
今ではヴィクトリアズ・シークレットの下着ショーもなくなったが、ほんの少し前まで、世の中は平気で美人コンテストなるものをやっていた。女性をルックスだけで評価するそれらの番組を見た少女たちは、その価値観(そして劣等感)を植え付けられていたのだ。でも、今から50年前に、異議を唱えた女性たちがいたのである。その歴史の一片を見られるのは感動。今作はまた白い肌が美しいとされてきた偏見にも触れるが、それらの事柄は娯楽作であることを意識しつつ伝えられていく。ここで描かれる母娘の関係にも共感。優れたキャストの中で、ジェシー・バックリーが最も美味しい役を演じているかも。
それぞれの立場があってさまざまな想いがある
史実を基にある権利を主張する運動を描くが、その主張自体を描くのではなく、その運動を単一の角度から描くのでもなく、その運動の中心や周囲にいるさまざまな人々のそれぞれ異なる思いを描く。しかもそれを、ユーモアを込めて描くところが魅力的。ミスコンテストの問題点を見据えつつ、反対運動に参加する人々もそれぞれの状況や抱える問題も違えば理想も方法論も違うこと、ミスコンに参加する人々にもにも各々異なる事情や目的があることからも目を逸らさない。
その一方で、史実を踏まえた1960年代英国のミスコンの舞台裏は、今見ると驚くような出来事や笑っちゃうような光景が続々で、舞台裏を覗き見する楽しさもたっぷり。