キリング・オブ・ケネス・チェンバレン (2020):映画短評
キリング・オブ・ケネス・チェンバレン (2020)
切実さはびんびん伝わってくるものの。
もともと舞台劇俳優のM.フリーマンが製作を買って出ただけあり、限定空間的構造はかなり舞台劇的で、じりじりと主人公vs官憲の焦燥感を高めていく。だがPTSD傾向の元海兵隊老人(フランキー・フェイソンは名演といえる)を寄ってたかって警察官(ほぼ白人)が苛めにかかる展開には、かなりイーストウッド的怒りを感じるとはいえ、スケール感に欠けるのは否めない。『フルートベール駅で』や『デトロイト』等々、こうした事件の果てしない頻出は米国の周知の事実だが、恐れずに書いてしまえば食傷気味なのも確かだ。実際の事件をここまで掘り詰めていながらのエピローグも、事実の後ろ盾として機能しているとはいえ蛇足に思えてならない。
この短評にはネタバレを含んでいます