オールド・フォックス 11歳の選択 (2023):映画短評
オールド・フォックス 11歳の選択 (2023)台湾ニューウェーブの伝統を継承した秀作
大人の世界を知り始めた子どもには、深く考えることなく親を軽蔑してしまう時期がある。そんな時期を繊細かつリアルに切り取った秀作。
ホウ・シャオシエン作品の助監督を務めたシャオ監督の演出は師匠譲りの詩情をたたえつつも、人間味を押し出して独自性を発揮。自由主義化する台湾で失われてゆくものを子ども目線でとらえながら、失ってはいけないものを、しっかりと見据えている。
時代背景となる1989年の秋は『非情城市』でベネチア国際映画祭グランプリを受賞し、日本では『恋恋風塵』が公開され、ホウ監督の注目度が高まっていた時期。個人的には台湾ニューウェーブが一巡したような、そんな感慨を覚えた。
この短評にはネタバレを含んでいます