ドライブ・ハード (2014):映画短評
ドライブ・ハード (2014)ライター2人の平均評価: 3
安全運転でドライブをしすぎ、じゃないかな?
導入は快調だった。自動車教習所の教官が、助手席に乗せた初対面の教習生(実は強盗のプロ)に騙され、あっという間に共謀者に仕立てられてしまう。教官は元チャンピオン・レーサーで、その腕を見込んでの計画的犯行。ストーリー運び同様、カット割りの手際の良さに期待が膨らむ。ハンドルを握るT・ジェーン。助手席にJ・キューザック。組み合わせも悪くない。が、しかしカーチェイスは以後不発、助手席側が主導権を握り、相手の人生をナビするアイロニーも弾けず、バディ・ムービーとしてはもの足りなさが。活劇の血は沸騰することなく、車内のトークもゆるゆる。まあ、このような小品に、目くじらを立てるのはオトナ気ないのだけれども。
バディ・ムービーの面白さを小気味よさとともに凝縮
『ミッドナイト・ラン』等を例に出すまでもなく、バディ・ムービーの基本はスリルとユーモアの配合。本作は、そんなジャンル・マナーを踏襲したサスペンス・アクションだ。
謎めいたワイルドな強盗犯と、妻の尻に敷かれる安定志向の元レーサーという異色のコンビネーション。その間で起こる化学反応が境遇の違いゆえに笑えて、なおかつスリリング。さらに、しっかり共感も抱かせるのだから、悪徳実業家や警官隊との攻防も手に汗握って楽しめてしまえる。
名のある役者ふたりのノってる妙演に加え、『スカイ・ハイ』のベテラン監督の健在ぶりが嬉しい。映画人たちのアンサンブルが噛み合った、職人的なイイ仕事と言えよう。