2001年宇宙の旅:映画短評
2001年宇宙の旅公開50年。「進化」より、繰り返される「暴力」にこそ目を瞠る
公開から半世紀、劇中年も遥かに超え、改めて鑑賞した70ミリ版。何十回も観てきたせいか、画質や音響のディテールに拘泥する自分にふと気づき、これではモノリスに触れなかったサルへの退化ではないかと焦燥感を募らせ、IMAX版に足を運んだ。初めて観た思春期には、キューブリック言うところの「科学的に定義された神」や「進化」といった深遠なテーマに思いを馳せたが、2018年現在、最も惹き付けられた描写は「暴力」だ。武器を手にして相手を撲殺し進化した生命体は、孤独な宇宙空間でAIと対決することになる。繰り返される戦いの果て、はたして人類は次なる段階へ進めるのだろうか。あの終幕は、当分訪れそうにない。
この短評にはネタバレを含んでいます