二宮金次郎 (2019):映画短評
二宮金次郎 (2019)至誠を貫き世の中を変える。いま最も応援したい実直な日本映画
伝記映画的な人生の総集編ではない。我欲にまみれた排他的な世間にめげず、力を振りかざす権力者に屈せず、信念を貫き通した男を通し、観る者の魂も震える。荒廃した幾多の土地を復興させた半生を、明快な対立軸を設けて力強いエンターテインメントに仕上げている。土と刀。その対比は、現代の政治に置き換えて観ることも可能だ。理念を実現するために、為政者の心も動かし、重用もされた革命家の理性と人格から学ぶことは多い。シネコン上映を拒否し、求める人と地域へ届ける全国巡回上映方式。多くの学校から二宮金次郎像が失われた今、本作には「至誠天に通ず」を体現した生き様を伝播させ、荒んだ心をも復興させる力がある。
この短評にはネタバレを含んでいます