心の傷を癒すということ《劇場版》 (2020):映画短評
心の傷を癒すということ《劇場版》 (2020)今に響く安先生の志
NHKは長年、震災をテーマにしたドラマ制作に挑み続けている。ドキュメンタリーではなくあえて実写。当事者の言葉にならない思いや叫びを今に蘇らせる術があることを実感する。本作も然り。安克昌先生は阪神淡路大震災時、被災者の心のケアを行ないPTSDを日本に広めた方だが2000年に早逝した。安先生なら東日本大震災、そしてコロナ禍で心に傷を負った人たちにどんな言葉をかけただろう?と想像せずにはいられない。だが、本作が安先生の遺志を伝える。「心の傷を癒すということは、誰もひとりぼっちにさせへんこと」と。同時に本作は有事に何かと切り捨てられがちなエンタメだが、その力を改めて私たちに伝えてくれるに違いない。
この短評にはネタバレを含んでいます