「ブレイキング・バッド」の愛されキャラがカムバック!ソウル・グッドマンのこじらせ人生劇場 海ドラ座談会企画PART2
海外ドラマスペシャル
「ブレイキング・バッド」に登場したうさんくさい弁護士ソウル・グッドマンの前日譚、及び「ブレイキング・バッド」後の物語を描いたスピンオフドラマ「ベター・コール・ソウル」。ソウルはどこで道を踏み外したのか? ワルだけどニクめない、愛すべき名キャラクターの衝撃的な人生について海外ドラマのプロが激論を展開しました!
座談会メンバー:池田敏、今祥枝、犬塚駆/司会・構成・文:シネマトゥデイ編集部 石井百合子
ソウルの将来はシナモンロール店の店長!?
司会:「BB」のスピンオフ「ベター・コール・ソウル」(以下、「BCS」)はいかがでしたか? 「BB」では普通の弁護士事務所を経営しながら、犯罪の片棒もかついでいるという設定でした。
今:役名がジミーになっていたので、初めは単純に「えっ、ソウルじゃないの?」って驚きました(笑)。
犬塚:まず、スピンオフといっても安易に「BB」と似た構造にしていないのがイイ。またこれも何のジャンルっていいづらくて、新しい感じがしましたね。犯罪モノでありながら弁護士モノでもあり、コメディー、家族ドラマと複数の側面があって形容できない。てっきり「BB」のように、ソウル(ボブ・オデンカーク)がメキシカン・カルテルの犯罪の世界にどっぷりハマっていく話なのかと思っていたら、そうでもなくてえげつない弁護士の世界の話があったり、先がわからないというか、どこに焦点が当たっていくのかがわからないのが面白い。
池田:すごく面白かった。これは「BB」に通じると思ったんだけど、アバンタイトルでいきなり将来ソウルがシナボン(アメリカのシナモンロールを主力商品とするチェーン店)の店長になっているっていうのをモノクロで見せることで、「『BB』で活躍していたソウルが、なぜシナボンの店長に?」と視聴者に謎を提示している。そのつかみもいいですね。
犬塚:ソウルがシナボンの店長になるっていうのは、「BB」でもセリフに出てくるんですよね。「人消し屋」のところに行って、再出発するときに「運が良くてもシナボンの店長ぐらいだろう」って。そしたら、本当にそうなっていたっていう(笑)。
今:ソウルは「BB」ではいい緩和剤になっていましたよね。悪いやつなんだけど出てくると、ちょっとホッとするというか。ニクめないキャラクターで愛着が沸きやすい。悪に成り切れない小物感もいい。
司会:「BB」でも、どんな目に遭っても結局ウォルターのことを見捨てていないですもんね。愛すべきキャラクターという感じでしょうか。
犬塚:そこが難しいところで、お兄さんのことを心配していたり本当に優しい人なんだと感じさせる瞬間もあるけど、結構えげつないことをやっているじゃない。あんなに恋人に「ズルはやめてね」って言われているのに、文書を偽造したり懲りない性格というか。
池田:まあある意味ではブレていないですよね。あと彼には実用主義的なところもありますよね。何としてでも勝つんだっていう。それがちょっとズルかったりするんだけど。
犬塚:悪事をしたいというより、自分のやり方を貫きたいという感じ。大手事務所に引き抜かれながらあっさり辞めてしまうのも、自分に自信があるからで。
今:変なところで自信家ですよね。認められようと頑張っていた割に、いざ目標を達成してみると「こんな人生つまらない」と。それはミッドエイジ・クライシスなのか、ジミーの人間性なのか。
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