略歴: 1971年、東京都出身。大学在学中、クイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作、「映画秘宝(洋泉社)」編集部員を経て、フリーとなる。現在は映画評論家として、映画誌・情報誌・ウェブ、劇場プログラムなどに寄稿。また、香港の地元紙「香港ポスト」では20年以上に渡り、カルチャー・コラムを連載するほか、ライターとしても多岐に渡って活動中。
近況: 『インファナル・アフェア4K 3部作』『search #サーチ2』『縁路はるばる』『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』『恋のいばら』『この小さな手』『香港怪奇物語 歪んだ三つの空間』(公式HP)『呪呪呪/死者をあやつるもの』(公式HP)などの劇場パンフにコラム・インタビューを寄稿。そのほか、キネマ旬報ムック「細田守とスタジオ地図の10年」にて細田守監督×ポン・ジュノ監督、「CREA WEB」にてアイナジエンドさん、倉悠貴さん、Evan Callさん、「GetNavi web」にて中井友望さん、武田玲奈さん、北香那さん、浅川梨奈さん、三浦翔平さん、森山みつきさんなどのインタビュー記事も掲載中。
監督を務めた人気俳優ラン・ジェンロンの恩師でもあったドキュメンタリー作家、ミッキー・チェンをモデルにしたノスタルジックな青春映画。LGBTQをテーマにしつつ、舞台は彼が教壇に立っていた1994年の台湾の予備校。そのため、前半は飯島愛やモザイク除去など、教え子たちによるギデンズ・コー監督作ばりの中2ネタ全開! さらに厳格な塾長を『哭悲』の最凶オヤジことジョニー・ワンが演じるキャスティングの面白さなど、どこか懐かしい台湾映画の醍醐味を十二分に堪能できる。そして、本作における重要なキーワードとなるレスリー・チャンが歌う「モニカ」。エンドロールは涙なくして観られないだろう!
副題「食人連鎖」が示すカニバリズムや『オーディション』の影響を受けた拷問シーンなど、ゴア描写が売りの本国ベトナムでは発禁扱いのホラー。とはいえ、大学の卒業制作から始まった企画だけに、実験的なアート作品としてのテイストが濃厚。時間軸が入り乱れる群像劇という、なかなか複雑な構成に加え、『走れロム』のような少年時代の日常、『メイド・イン・ホンコン』のような青春時代の復讐劇が展開されるなか、粗削りながらハッとさせられるカットも少なくない。よって、単なるキワモノ映画の枠にとらわれず、トラン・アン・ユン監督が激推しした理由も納得。ホラー以外も楽しみな監督といえるかもしれない。
あんずちゃんを始め、絵柄的にデフォルメされており、後半のオリジナル展開となる地獄めぐりなど、随所にジブリ感もありつつも、そこは原作:いましろたかし。絶妙な笑いを交えつつ、人間たちの悲哀を描いていく。母を亡くした11歳の少女をヒロインに据えたことで、じつは「攻めた夏休み(アニメ)映画」としても見どころ満載で、『河童のクウと夏休み』に近い肌触りだ。ロトスコープぽくないところも逆に味わい深く、ボイスキャストの閻魔大王に宇野祥平、カエルちゃんに吉岡睦雄をキャスティングし、しっかり「監督:山下敦弘×脚本:いまおかしんじ」の映画に仕上げているところもたまらない。
そもそも「リアル鬼ごっこ」から派生したようなバラエティ番組だし、途中から明らかに『ハンガーゲーム』なクロノス社の設定が加わっただけに、今回の映画化はそこまで意外ではない。それより、「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」や現在放送中の「ブラックペアン シーズン2」の演出家が監督を務めた方に驚きだ。東京マラソン的なスポーツイベントなノリから一転、「カイジ」「LIAR GAME」なデスゲームと化すなか、青春ドラマを強引に絡ませる力業で逃げ切る。一発ギャグを繰り出す出オチに過ぎない芸人や、一人だけ「イカゲーム」なヒール感を醸し出す長井短など、フジテレビ映画らしい仕上がりだ。
スピンオフなど、近作はマンネリ化が否めなかったシリーズだが、1、2作目のクリス・ルノー監督が復帰。さらに『FLY!/フライ!』に続き、イルミネーション作品の脚本にマイク・ホワイトが参加。「ファンタスティック・フォー」や「ハリポタ」「キック・アス」のパロディなど、相変わらず盛り込みすぎてとっ散らかってるところは否めないが、今回はグルーと天敵マキシム・ル・マル(CV.片岡愛之助だけに、ほぼ『翔んで埼玉』の嘉祥寺晃!)にまつわる小ネタとして、カルチャークラブ「カーマは気まぐれ」や『天才アカデミー』といった80`sネタが笑いを誘う。さらにシリーズ大団円といえるラストに、★おまけ。