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化け猫あんずちゃん (2024):映画短評

化け猫あんずちゃん (2024)

2024年7月19日公開 95分

化け猫あんずちゃん
(C) いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.2

森 直人

至上のゆるキャラを爆誕させたロトスコープのマジックリアリズム

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

山下敦弘監督が深く敬愛してきたいましろたかしの世界。それを『苦役列車』(原作:西村賢太)で組んだ森山未來(主演)&いまおかしんじ(脚本)というガチすぎる仲間たちで手掛けたのに、こんなにキュートでまろやかな傑作寓話になるとは。トトロとテッドとプーさんが合体したようなゆるキャラの化け猫と、心に茨を持つ少女の色鮮やかな異界の冒険譚に仕立てたのはアニメ監督の久野遥子だ。

「モーションキャプチャー的作画」とも言えるロトスコープだが、本作はマックス・フライシャーから始まった同手法の可能性を問い直して新たに拡張させた。大変な労作だが軽みに満ちているのが素晴らしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

山下敦弘監督、新境地を拓く

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

脚本は『苦役列車』のいまおかしんじ、共同監督は短編映像でコラボした久野遥子。山下監督は近年、味でもある”何も起こらない話”から、『カラオケ行こ!』などエンタメ色の濃い作品を手がけてチャレンジングな活動を続けてきたが、それらの点と点が繋がって本作で見事に結実。脱力系漫画と山下監督の相性の良さは言わずもがな、山下監督ならではの間やテンポをアニメーションに活かした久野監督の職人技、日仏共同で作り上げた色彩設計は、日本のアニメ界にも新風をもたらすに違いない。何より原作の世界観を壊すことなく、オリジナルキャラクターを溶け込ませて、普遍的な少女の成長物語に仕上げた脚本に唸る。これぞ映画化の醍醐味。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

化け猫の町に住みたい!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ロトスコープ撮影とのことだが、言われないとわからないほどのアニメ感。とにかく気持ちのよい世界観。

 バイクに乗るし、ケータイは使うし、マッサージのバイトもパチンコもする、人間まんまのあんずちゃんのペースに乗せられたと思いきや、『ビルとテッドの地獄旅行』のような展開に発展。化け猫が溶け込む田舎のファンタジーに奇想天外な味がマッチしつつ、そこからの着地も上手い。

 フランスのスタジオの参加による色合いの淡さも押しつけがましくなく、ビジュアル的な好感度は高い。あんずちゃんの暮らす田舎町に、住みたくなってしまうかも!?

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

あんずちゃんが最高

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

ロトスコープアニメ。メインキャラクターを実際に人が演じたモノからアニメを起こしたという手が込んだ一本。アニメ化されたキャラクターに実際に演じた人達の面影が残っているのもの楽しいです。そしてやはり何と言っても森山未來演じるあんずちゃんが最高です。”化け猫が日常生活に居る”ということが当たり前のように受け入れられている世界観にはとっつき難い部分もあるかもしれませんが、そこをクリアしてしまうと、映画はとても楽しいものになっています。特に異常に人間くさいあんずちゃんのキャラクターが最高です。実写版も見たいところですね。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

『河童のクウと夏休み』に近い、“攻めた”夏休み映画

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

あんずちゃんを始め、絵柄的にデフォルメされており、後半のオリジナル展開となる地獄めぐりなど、随所にジブリ感もありつつも、そこは原作:いましろたかし。絶妙な笑いを交えつつ、人間たちの悲哀を描いていく。母を亡くした11歳の少女をヒロインに据えたことで、じつは「攻めた夏休み(アニメ)映画」としても見どころ満載で、『河童のクウと夏休み』に近い肌触りだ。ロトスコープぽくないところも逆に味わい深く、ボイスキャストの閻魔大王に宇野祥平、カエルちゃんに吉岡睦雄をキャスティングし、しっかり「監督:山下敦弘×脚本:いまおかしんじ」の映画に仕上げているところもたまらない。

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平沢 薫

日本の田舎のユルい精霊たちになごむ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 母を亡くした11歳の少女が、祖父が住職をする田舎の寺に預けられ、その近くで暮らす奇妙なものたちに出会う。人間のように言葉を話す二足歩行の猫やカエル、大きなキノコに顔があるようなものなど、土着神とも精霊ともつかないものたちの姿の、ユルくてのどかな感じがとてもいい。

 そんなものたちが暮らす世界の明るく柔らかな色彩が、一味違う新鮮さなのは、背景美術と色彩設計を『リンダはチキンがたべたい!』に参加したフランスのスタジオ、Miyu Productionsが担当したせいか。美術監督はフランスの画家ピエール・ボナールの画をイメージしたそう。11歳の少女が、そんな色彩の中で次の一歩を踏み出していく。

この短評にはネタバレを含んでいます
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