山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • レスキュー
    救命最前線で戦う名も無きヒーローに拍手!
    ★★★★★

    海難レスキュー隊員の熱量が伝わる熱血アクションで、『海猿』中国版かな。監督の無茶な要求にも全力で応えるE・ポンと彼に男惚れしたD・ラム監督の4度目のタッグであり、燃え上がるオイルリグや沈没寸前の飛行機といった過酷極まりない状況での救命ミッションが描かれる。撮影はハードで、海で溺れかけたり、聴覚に異常をきたした役者もいたというのも納得のド派手なアクションが展開される。またホロリとさせる父子ドラマも描かれていて、熱血漢の主人公ガオ・チェンが感じる任務への恐怖が伝わる。コロナ禍で人命救助に尽力する医療従事者に対しても同様だが、救命最前線で戦う名も無きヒーローへの感謝を実感する。

  • 茜色に焼かれる
    「まあ、頑張りましょう」のつぶやきが辛い
    ★★★★★

    交通事故で夫を失ったシングルマザーが生活費に困窮しているところにコロナ禍。日本国民の大半が実感する生活苦と重なるが、尾野真千子演じる京子のメンタルが強すぎ。不幸をわざわざ背負っているような掴みどころのなく、共感しにくい。自傷癖ありの同僚や上しか見ないホームセンター店長といったわかりやすいキャラと差が激しすぎる。元女優なので困難に対処する方法として演じることが習い性となっていると理解した。だから彼女が口にする「まあ、頑張りましょう」が絶望の裏返しと思えてすごく辛い。夫のバンド仲間や同僚のDV恋人など出てくる男がクズばかりで、風俗店店長と秀才の息子くんのまっとうさに救われる。

  • ファーザー
    老いのリアルが伝わる傑作
    ★★★★★

    老人と彼の世話をする娘の関係性を描く温かな家族ドラマと思いきや、息を呑む方向へ進む。恋人とパリ移住を決めた娘や彼女の別れたはずの夫を複数の役者が演じることで心理サスペンス的な様相も加わるが、徐々に主人公の認知度に問題があることが明らかになっていく。緻密なドラマ構成とオスカーを受賞したA・ホプキンスの演技が非常に素晴らしく、加齢のリアルを見せつける。O・コールマンら脇を固める役者陣も主人公の疑念や怒りを映し出す表情演技を披露し、ホプキンスを見事にサポート。親の介護という現実を知っている人には切ないが、人間の老いとはこういうことだと手にとるようにわかる人間ドラマだ。

  • めまい 窓越しの想い
    素のままでは生きづらい時代に希望はあるの?
    ★★★★

    主人公は契約社員で、不安定な立場や上司との秘密の恋、母親との関係でストレスだらけ。しかし、そんな彼女を気に掛ける男性がいる。まるで天使みたい。高層ビルのオフィス内で笑顔を顔に貼り付けてあがくOLと天空を自由に移動する窓清掃員の対比が詩的で、意味深。一流企業のようだが、社内に蔓延る古臭い考えにヒロインが疲弊していく感じに「他人事じゃない」と思う女性は少なくないかも。身体にも異常をきたす職場環境の恐ろしさよ!?  演じるチョン・ウヒの感情を抑制した表情が効果的だ。『LETO レト』のユ・テオ演じるイケメン上司をめぐる物語にも旧態依然としたアンチが反映され、悲しくなった。藁にも縋りたい時代だな。

  • ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから
    “好き”もいいけど、じっくり育てて“愛”にすべし!
    ★★★★

    結婚10年目を迎えた若夫婦の立場が逆転したら?という前提がユニークな、パラレルワールド的ラブストーリー。作家として成功した夫の無関心に心を痛める妻のwhat if(もしも?)や、勝手に夫婦が盤石と思い込んでいた夫の焦りが見える形でドラマ化されているので、恋愛と結婚の違いがよくわかる。恋を愛に昇華させるには努力が必要なのだな~(多分)。妻役のJ・ジャピと夫役のF・シビルにはカップルとしてのリアリティがあり、立場が変わっても惹かれあうように見えるのがとてもチャーミング。そしてコメディ部分を担うB・ラヴェルネがいい味を出している。主人公の間抜けっぽい親友だが、恋の名アシストを披露する彼に拍手!

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