中山 治美

中山 治美

略歴: 茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。全国商工新聞、月刊スカパー!(ぴあ)、時事通信などに執筆中。

近況: 映画祭で国内外を飛び回っているうちに”乗り鉄”であることに気づき、全国商工新聞で「乗りテツおはるの全国漫遊記」を連載。旅ブログ(ちょこっと映画)もぼちぼち書いてます。

サイト: https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

中山 治美 さんの映画短評

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  • ロボット2.0
    スーパースター、健在
    ★★★★★

    どんなに「ンな、アホな」という展開も、「ありえねー」な描写も、マイケル・ベイとラジニ様の作品だけは文句を言わせぬ振り切れっぷりに根負け。むしろ殺伐とした世の中を緩和させるに違いない。前作『ロボット』から8年経ったというのに衰え知らずのラジニ様。本作では電波塔の乱立が鳥の生態系を脅かしているとスマホ社会への警鐘がテーマとなっているが、これだけVFXを駆使して文明の利器に頼りっぱなしの作品がどの口でおっしゃってます??と突っ込まずにはいられない。でも最後にラジニ様からもっともらしいお言葉を頂くと、有難い説法を聞いたような気分にさせられ許してしまうのだ。やはりスーパースターの肩書きは伊達じゃない。

  • 音楽
    祝!オタワ国際アニメーション映画祭グランプリ
    ★★★★★

    ヤンキーがバンドを組んで音楽の楽しさに目覚める。
    漫画家・大橋裕之の超シンプルなキャラクターたちを動かして、どうやって音楽を奏でることの喜びと興奮を表現するのか。原作ファンならずとも期待と不安が入り混じるところだが、正直驚いた。クライマックスの野外フェス・シーンでの意表を突くパフォーマンスと、巧みな動画と構図で表現したステージの疾走感。本作は製作に7年かけた労作で、実際の人間の動きを取り入れたロトスコープの手法が取り入れられている。その作品に込められた熱量と手間は人の心を動かすのだ。そして本作の出現が、類型的に陥っている今の商業アニメに刺激を与えることを何より期待するのだ。

  • “樹木希林”を生きる
    樹木希林が”樹木希林”であり続けたワケ
    ★★★★

    密着取材は被写体と取材する側の格闘だ。どんな一面を引き出すか。原一男監督や森達也監督のように”仕掛け”も用いて本音を引き出すタイプもいる。
    樹木希林はこれまでも取材する側の心理を巧みに見抜き、それを楽しみ、逆に彼らを巻き込んで樹木希林という存在の血や肉としてきた。だから自分とタイマンを張る覚悟のない相手には容赦ない。放送版に加えられた未公開映像で、彼女の仕事に対する姿勢がより露わになる。これは特に映像関係の仕事に携わる人にとっては教訓となるに違いない作品。そして改めて希林さんの狡猾さも愛らしさもユーモアを持って引き出していた久世光彦、是枝裕和、安住紳一郎の手腕に敬服。

  • エセルとアーネスト ふたりの物語
    英国版『この世界の片隅に』
    ★★★★★

    レイモンド・ブリッグズが両親の人生描いた漫画が原作。自身が生まれる前の話がほとんどで想像の世界のはずだ。なのにイキイキとした会話と細やかな生活描写で、当時の社会までも鮮やかに甦らせた。とりわけ防空壕やシェルター造りといった戦時中の庶民の備えと暮らしは、過去の英国映画でもお目にかかったことがないレアシーン。ドイツ同様に当初はヒトラーの台頭をそれほど脅威に感じていなかった発言や英国人らしい政治家への辛辣なコメント含め、アニメの枠を超えて20世紀の貴重な映像記録といっても過言ではない。そして小津安二郎、高畑勲をはじめ優秀なクリエーターは日々の営みを疎かにしないのだということを改めて実感。

  • みとりし
    ”看取る”を真摯に、丁寧に
    ★★★★★

    看取り士とは一般社団法人日本看取り士会の認定資格で、企画・原案に同会会長が携わっている。本作は新たな職種の認知と、理解を深める意味合いもあるはずだ。だが冒頭に、看取り士が実際に行わない行為も含まれている説明が入り、若干戸惑う。
    それでも尊厳をもって”看取る”という行為が旅立つ人だけでなく、残された人の心のケアにも重要かを真摯に綴っていることに魅せられる。中でも日本社会の歴史と移ろいの両方を捉えた地方の風景は、誰にでも訪れる死が自然の営みの一部であることを雄弁に物語る。ともすればお涙頂戴モノになりがちな題材だが、音楽も観客の情感を煽るようなことはしない。そこに映画人の心意気をみた。

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