ラヴソング:映画短評
ラヴソングテレサ・テンの楽曲が2人を繋ぐ“十年愛”
中国返還を前に、海外を目指す香港人と対照的に、香港の地を目指した2人の大陸人をテレサ・テンの楽曲が繋ぐ“十年愛”。当初フェイ・ウォンにオファーされた、したたかな見栄っ張りなヒロインだが、慰安室でミッキーに再会したときの何とも言えぬ表情を観れば、ぐうの音も出ないマギー・チャンの芝居。空気の読めない田舎者から逞しい男に変貌するレオン・ライの顔つき。そして、昼メロ寸前なすれ違いの美学に、匂い立つラブシーンなど、年齢を重ねるたび、より味わい深くなるピーター・チャン監督の繊細な演出。香港電影金像奨において、未だ破られぬ9部門を受賞しているだけに、まさにラブストーリーの金字塔といえる。
この短評にはネタバレを含んでいます