バーン・クルア 凶愛の家 (2023):映画短評
バーン・クルア 凶愛の家 (2023)ライター2人の平均評価: 4
予期せぬ感動のクライマックスに涙するタイ産ホラーの佳作
経済的な理由から自宅を他人に貸して、自分たちはマンションへ引っ越した夫婦。ところが、その借主が実は邪悪なカルト教団のメンバーで、なおかつ夫婦の幼い娘を生贄として狙っていた…というタイ産ホラー。前半は『ローズマリーの赤ちゃん』の焼き直し的な印象で、まあ、だいたい先の展開は読めるわな~なんて高を括っていたら大間違いだった。中盤から一気にエンジンがかかり始め、より複雑な背景事情とショッキングな真実が次々と明かされていく。最後はまさかの涙なしでは見れない感動のクライマックス!これはまるで予想しなかった。さすがはホラー映画大国タイ、非常にクオリティが高い。
呪われたのは家か、人か!? チョイ辛口のタイ製ホラー
タイのホラーの濃厚さには目を見張るものがあるが、本作も然り。この分野で活躍するサクダピシット監督が強烈な人間ドラマとともに恐怖を紡ぐ。
事件の始まりはヒロインの目線で語られ、次にその夫、老女の視点で最初の物語を検証する三部構成。視点が重なるほど、そこで何が起きたのかが明らかになる。この構成はホラーでは新鮮だ。
オカルト設定を生かしつつ、それが実際に人間に起きたとき、どうするのか?……の検証も面白い。主演女優ジラヤンユンは、母性の激しい体現も相まって強い印象を残す。安堵と悲哀がブレンドしたかのような着地も◎。