シン・エヴァンゲリオン劇場版 (2020):映画短評
シン・エヴァンゲリオン劇場版 (2020)ライター2人の平均評価: 4.5
さらばと、さよなら
あまりの急展開で、誰もが驚愕した前作『Q』で広げまくった大風呂敷を、155分かけて、きっちり畳む。前半でさらに世界観を広げたことに戸惑うが、ここで人間ドラマがきっちり描かれているからこそ、後半に効いてくる仕掛けに納得。第2次アニメブームの火付け役となった“あの作品”などにオマージュに加え、「さよなら」繋がりでクライマックスに流れる“あの映画主題歌”では昇天。RADWIMPSが似合いそうなサプライズもありつつ、締めの宇多田メドレーがやっぱりアツい。「TV版」「旧劇場版」「シン劇場版」と、それぞれのラストを考えると、『シン・ゴジラ』を挟んだことによる庵野秀明監督の余裕も感じられる。
覚悟と落とし前
WITHコロナ宣言をしたも同然の月曜日初日という異例の体制の中、ついに公開。
2時間35分というランニングタイムからも確実に終わらせる気でいるという覚悟が伝わってきましたが、実際に本編は見事なまでの完結編。“終劇”の文字に相応しい幕切れとなりました。起伏に富んだストーリーはシリーズと言うことを抜きにして、これ単体でも楽しめる部分が多く、高密度の充足感のある映画です。庵野秀明総監督は『シン・ゴジラ』を作った時に培った自身の世界観とエンターテイメントとのバランスのとり方をエヴァに見事に反映させてきたなと感じました。