アフター・アース (2013):映画短評
アフター・アース (2013)ライター3人の平均評価: 2
スミス家(限定)の教育映画
親子初共演した『幸せのちから』では資本主義社会の世知辛さを、父ウィルが製作を務めジェイデンが主演した『ベスト・キッド』では武術を通して礼節を、そして本作で世紀末を生き抜くサバイバル術を叩きこむ。まさに、行き馬の目を抜くハリウッドでジェイデンをスターに育て上げるための教育映画3部作だ。なのでシャマラン的な味を期待すると拍子抜け。せいぜい人間の“恐怖心”に反応して襲ってくる獣が登場するくらい。物語なんて、「走れメロス」そのまんまだ。でも、これもそれも、未来のスターのためと思って、長〜い目で見てあげましょう。
父子ドラマとしては面白いがSFとしては?
ウィル・スミスが息子ジェイデンをスターにするためにハリウッド大作を作ったようで、事情通には反感を買いそうだが、そんな色眼鏡さえ外せれば父と子のドラマは意外に歯応えがある。厳格な父に認められようと奮闘する息子の成長ぶりに、思わず目を細めてしまいそうになる。ジェイデンも14歳のナイーブなところがよく出ていて好感が持てた。が、SFとして見るとアラが目につく。そもそも1000年後の地球を舞台にすることに意味があったのか?
息子の障害物競走を延々見せる、ウィル・スミスの親バカっぷり
『オブリビオン』に続く、正統派SFにも見える本作を、何の予備知識を入れずに見るか。 それとも、『ベスト・キッド』で息子相手に愛のムチを振るうジャッキー・チェンに嫉妬し、ウィル・スミス自らプロットを書いたことを知ってみるか。もし後者なら「ステキな親子」と温かい目で見守ることができるかもしれないが、それに入場料を払いたいと思うほど観客はバカじゃない。迷匠M・ナイト・シャマラン監督の色を一切消去し、息子の障害物競走のビデオを延々と見せようとする、ウィル・スミスの親バカっぷり。彼のファンですら、ジャッキーを意識した笑顔の封印を望んでないことを理解しているだろうか。これはなんだかんだ言って、自身の番組でIMALUの話題を出す、明石家さんまに通じるものがある。劇中登場するクリーチャーやガジェットの造形は、決して悪くないだけに残念だ。