ミステリアス・スキン:映画短評
ミステリアス・スキン
今の日本でこその衝撃+『ブルータリスト』監督の少年時代の名演
21年を経ての劇場公開だが、嫌でも旧ジャニーズ問題が重なり、描かれるテーマの切実さ、生々しさに全身が震える。今の日本で観る価値がさらに大きくなった作品。全体的には少年期のトラウマと、それに向き合う10代の複雑な心理を繊細にリリカルに、ファンタジックに包んだ印象だし、ピュアな友情物語として受け止めることもできるが、つねに鋭利なナイフで突き刺されたような鈍い痛み、哀しみが消えない。
『ブルータリスト』で巨匠の域に達したB・コーベット監督の、俳優時代の初々しい演技に心洗われる。一方でJ・G=レヴィットの娼夫としての身体を張った動き、つかみどころない感情表現に、その後の役とのギャップで目眩をおぼえた。
この短評にはネタバレを含んでいます