中学生円山 (2012):映画短評
中学生円山 (2012)クドカン流3.11後映画に唸る
円山少年の“自主トレ“や妄想といった怒涛のアホらしい笑いに腹を抱えつつ、作品に込めたクドカンこと宮藤勘九郎監督の“思い“に胸が熱くなった。団地に暮らす普通の中学生・円山は劇的な日常を願いつつ、妄想が現実となって普通の生活の良さを再認識する。これって、東日本大震災を経験した私達が実感した事そのもの。宮城県出身のクドカンは、震災を直接描くことにためらいがあるようなので、照れ隠しで笑いというオブラートに包んでこの物語を構築したのだろう。そして、“努力は実る“というメッセージに泣き笑い。ただ、ラストの子どもの使い方が後味悪い。西川美和監督『夢売るふたり』同様、大人の不始末を子どもに尻拭いさせるのは粋じゃないね。
この短評にはネタバレを含んでいます