ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた (2022):映画短評
ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた (2022)観た人の多くが「あの頃の自分」と対話したくなる仕様
若い時代に得た栄光。一瞬だけの煌めきの記憶が、年齢を重ねた後に甦る。その喜び、もどかしさ、後悔、新たに生まれる葛藤で、ケイシー・アフレックの個性が最適だと本作は証明する。若き自分との対話など、ケイシーの“よるべなき頼りなさ”が超絶マッチ。
一方で10代の天才俳優ノア・ジュプは、学校内のライブで発揮する美声で魅了。もっと彼の歌のシーンをいっぱい観たかった。
息子たちの夢を後押しする両親の思いが優しく、かつ痛いほど伝わるドラマだが、最も切ないのは兄弟デュオの兄の立場。才能に恵まれた家族に対する彼の心情こそ、本作を観る人の多くが共振するのでは? 各人物の本音をあえてセリフで示さない脚本が奥ゆかしい。
この短評にはネタバレを含んでいます