ニード・フォー・スピード (2014):映画短評
ニード・フォー・スピード (2014)ライター3人の平均評価: 3.3
文句なしに楽しめる痛快カーアクション
どうせ「ワイルド・スピード」の亜流映画だろうとタカをくくっていたら、意表をつくぐらい面白かった。確かに、犯罪の濡れ衣を着せられた天才ドライバーの若者が、敵討ちをするべく過酷なストリートレースに挑む、というストーリーには新鮮味がない。
だが、それを補って余りあるのがVFX一切なしの超ハードなカー・スタントの数々。これは車好きでなくとも血湧き肉躍ること間違いなしだ。また、見た目はクールだが実は根っからのカーキチというイモジェン・プーツや、テンション上がりすぎて全裸で闊歩してしまうラミ・マレックなど、主人公を囲む仲間たちが素晴らしく魅力的。作り手が観客を楽しませるコツを見事に心得ている。
ワイスピのバッタもんはキッチュな魅力あり!
運転にかけては天才のメカニックが自尊心を取り戻そうと違法公道レースに挑む過程で画面にはスーパーカーと華麗な運転技術が続々登場。主人公トビーが仲間と組んで披露するスーパーテクが派手だし、「ホット・フュエル!」(走行中にガソリンを入れる技)とかいちいち声高に叫ぶあたりが必殺技連呼アニメを彷彿させる。ちょっと気恥ずかしいけど、そういう安っぽさが味になっていて不思議に楽しい。そしてうれしい驚きだったのがトビーの味方になる車に詳しいイギリス人美女を演じたイモージェン・プーツの存在。コミカルさとリアルさのバランスが絶妙で、刺身のツマ的な役柄をチャーミングに変身させた。彼女は今後、要注目だ。
カー・アクションは一級品。でも何故この主人公?
いわゆるゲームの映画化ものらしく、その“原作”とどこまで関連しているのかは知らないが、ストリート・レース映画としてはかなり骨のある仕上がりではないか。それはマイケル・キートン演じるDJの役回りが、ほとんど神話的な域にまで達した唯一無二のカー・アクション映画『バニシング・ポイント』の“スーパー・ソウル”を想起させるから。もはや違う次元に突入した感のある『ワイルド・スピード』シリーズ初期をも遥かに超える壮絶スタントが矢継ぎ早にあるし、なによりイモージェン・プーツの可愛さを運転席からの視点で眺められるという幸福感も大きい(笑)。ただ、主人公のダサさ、魅力のなさはいったい何なんだ?????