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フェリーニのアマルコルド:映画短評

フェリーニのアマルコルド

フェリーニのアマルコルド
なかざわひでゆき

ファシスト政権下の狂乱を自嘲的に再構築したブラックコメディ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ムッソリーニの独裁体制が確立された’30年代の北イタリアを舞台に、頭の中は巨乳と巨尻でいっぱいの童貞少年チッタをはじめ、どこまでも本能に正直で大らかなイタリア庶民の猥雑とも呼ぶべき生活の営みがユーモラスに綴られていく。そこから浮かび上がるのは、形式的なファシズムの大義名分やカトリックの教義などものともしない大衆の動物的な生命力であり、同時にその子供じみた無分別が全体主義の熱狂へと煽られてしまう危うさである。世間では巨匠フェデリコ・フェリーニの半自伝的作品ともされるが、むしろあの時代の狂乱と堕落を自嘲的に再構築した壮大なブラックコメディのように感じるのだ。(GYAO!にて5/31まで無料配信)

この短評にはネタバレを含んでいます
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