グッド・ライ~いちばん優しい嘘~ (2014):映画短評
グッド・ライ~いちばん優しい嘘~ (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
難民の目から見た豊かな先進国アメリカ
アフリカのスーダンからアメリカへやって来た難民の若者たちと、彼らを受け入れるボランティアの友情を題材にした本作は、内戦の嵐が吹き荒れる祖国で若者たちが歩んだ壮絶な過去を描く前半が重要だ。
幼くして家族を虐殺され、死の逃避行の末に難民キャンプへたどり着いた彼らの苦難を、スーダンがどこにあるかも分からないアメリカ人には想像すらつかない。ゆえに、双方のカルチャーギャップが生むすれ違いには、素朴な笑いと同時に切ない哀しみが滲み出る。
そんな彼らが目の当たりにする米国社会の不条理を通して、本作は豊かさに慣れてしまった先進国の平和ボケにも釘を刺す。我々は真に愛情や幸福を理解しているのだろうか?と。
自分だけが幸せでいいの?と考えさせる秀作
スーダン内戦で家や家族を失い、避難キャンプで生活していた“ロストボーイズ”をアメリカが受け入れたことを知らなかったので、まずは驚いた。袋1枚に収まる持ち物が財産という難民がアメリカで体験するカルチャーギャップの描き方は定番だが微笑ましく、チャンスの国で成功をつかむのが主軸かと思ったら意外な展開が待っていた。このヒネリこそが物語のツボであり、人間性や正しく生きることについて考えさせてくれる。幸せになるにはどうすべきか、人生で本当に大切なのは何なのか? 難しい決断を迫られたときに自分を犠牲にする勇気があるか? 見終わったときにさまざまな思いが胸をよぎった。