パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間 (2013):映画短評
パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間 (2013)ライター2人の平均評価: 3.5
確実に今までにはなかった視点がここにある。
被害者と加害者(?)双方の死を数日のうちに確認することになる病院の研修医ら(と州法を楯に棺を移動させまいと意固地になる監察医)、あの有名な8mmフィルムを偶然撮ってしまった男、イカレた弟の逮捕の報せを工場で聞く真面目な兄、証拠隠滅を迫られるFBI捜査官……ひとつの事件によって、その後の人生に重い枷を負わされることになる人々の、運命の数シーンをピックアップし再構成する手腕は見事。政治的重大事とて、細部を描けば描くほど滑稽さまで見えてくるという皮肉もしっかりすくっている。ジャーナリスト畑出身ぽい監督だが、バリー・アクロイドの機動力ある撮影を存分に活かしているし、モブシーンも相当巧く今後要注目。
大事件に浮き足立つ小市民っぷりがリアル
ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件をめぐる映画だが、犯人探しよりも事件を巡って右往左往する現場の人々を描くのに重点を置いた異色作だ。大統領と狙撃犯が運び込まれたパークランド病院スタッフの対応をはじめ、狙撃の瞬間を偶然ビデオカメラに捉えて慌てる男性、責任を押し付け合う行政関係者、苦悩するシークレットサービスとすべてがリアル。歴史に残る大事件に浮き足立ち、まともな思考も吹き飛ぶのが小市民の悲しさと実感した。オリバ―・ストーン監督が『JFK』で描いたCIAとマフィアによる陰謀説ほどの娯楽性は無いが、柩を乗せるために大統領専用機の一部を破壊したネタなど逸話も多く、酒席の話題にもなりそう。