はじまりは5つ星ホテルから (2013):映画短評
はじまりは5つ星ホテルから (2013)誰でも”隣の芝生は青く見える”瞬間はある
旅を通して人生を見詰め直す映画は少なくないが、本作は主人公イレーネが5つ星ホテルの覆面調査員である点がポイント。各国の高級ホテルで多くの時間を費やしている彼女にとって、旅から戻った日常にこそ発見や気付きがあるパラドキシカルな設定が面白い。
40歳独身のイレーネは妹家族の団らんや元恋人の恋愛話に、ふと人生の選択を間違えたのではないかと不安を覚える。一方の妹は、姉の生き方に苛立ちを隠せない。要は、人はどんな人生を選んだとしても、隣の芝生が青く見える瞬間はあるのだろう。
いずれにせよ、幸せの概念は人それぞれ。そんな普遍的なメッセージを粋に伝える、イタリアの女性監督トニャッツィの感性が素敵だ。
この短評にはネタバレを含んでいます