早熟のアイオワ (2008):映画短評
早熟のアイオワ (2008)ライター2人の平均評価: 3
さしづめアメリカ版「圭子の夢は夜ひらく」?
貧しさゆえの悲惨な生活環境から、10代にして大人になることを強要された少女の物語。なにしろ、父親は家庭内暴力の挙句に姿を消し、クスリ漬けの母親は幼い娘たちの目もはばからず売春、自宅は夜な夜なヤクの売人や娼婦が集まり違法賭博場と化すといった有さまだ。これが監督と脚本を兼ねる女優ロリ・ペティの実体験というから驚かされる。
周囲の大人に頼ることもできず、自力で妹たちを守らねばならないヒロインを演じるジェニファー・ローレンスの演技は力強い。末っ子クロエ・グレース・モレッツの無邪気な愛らしさも逆に哀れを誘う。ただ、全体としては“私の人生暗かった”的な作り手の回想録の域を出なかったことが残念。
目の付け所がすごいでしょ、的な先物買いを再発見。
売れる前のジェニファー・ローレンスが主演、妹役にクロエ・グレース・モレッツという2008年の映画が今になって日本公開。米中西部アイオワを舞台にヤク中で売春婦のお母さんが仕切る、のちの『ウィンターズ・ボーン』より過酷で『HICK ルリ 13歳の旅』より危険な家庭模様が描出される。ふたりは三姉妹の長女と三女の役なのだが、すでに大物オーラ出まくりで次女役のソフィア・ベアリーが気の毒なほど。
黒人の多い環境のせいか、ヒロインがソウル・ミュージックのファンってのがいい。自分たちへの応援歌として三姉妹が合唱するマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」にはグッときた!