ホームレス理事長 ～退学球児再生計画～ (2013)：映画短評

　東海テレビのドキュメンタリーは、世間から切り捨てられた人物や事象にスポットを当て、独自の視点で再検証するのが特徴だ。今回は、暴力事件で逮捕された過去を持つ監督を筆頭とする中退球児たち。世間からすれば負け犬だ。再生を目指して再び野球に挑戦するも、負け癖から現実逃避するなど空回りしっぱなし。不甲斐ない彼らに、TV放送時には罵詈雑言を浴びせた人もいたようだ。だが、どれだけの人が彼らをあざ笑える程、器用に人生を歩んでいるだろうか？
　ここには私たちが日頃、見て見ぬふりをしている現実が写っている。しかし、無様でも懸命に生きようとする彼らを見て、救われる人もいることを忘れてはならないと思うのだ。