柘榴坂の仇討 (2014):映画短評
柘榴坂の仇討 (2014)時代に変化を強いられた男たちの不器用な生き様
西洋的な資本主義や合理主義がよしとされる明治の世にあって、時代遅れな武士道の精神にこだわり続ける主人公たち。そんな彼らをただ見守ることしか出来ない周囲の人々。物語が宿命の対決へと静かに向かう過程で、敵味方や利害損得を超えた、日本人ならではの義理人情の世界が浮かび上がる。
結局、社会や時代というものは一部特権層の野心や利益のために動いていく。現代のグローバル化もまた然り。そうした変化の中で、庶民がいかにして己のアイデンティティを見失うことなく生きていくべきなのか。そんな社会対個人の在り方を端正な日本的情緒をもって描いた作品と言えよう。「るろうに剣心」2部作と併せて鑑賞することをお薦めしたい。
この短評にはネタバレを含んでいます