観相師-かんそうし- (2013):映画短評
観相師-かんそうし- (2013)伝奇ものは史実を覆すくらいの芸が欲しいね。
食い詰めた観相師にソン・ガンホ、謀反人・首陽大君にイ・ジョンジェ。このふたりの顔面勝負となりゃ観ずにはいられぬし、作品としては堂々たるもの。しかし、あのヒネリが効きまくった『恋愛の目的』『優雅な世界』をモノしたハン・ジェリム監督としては結果的に物足りなさが残る出来。コメディ的な前半は見事に軽快な音楽とも相俟って快調なのだが、後半“史実”の割合が増すにつれ必要以上に真面目になるし、そもそも「観相」が二の次になるのがいけない (“逆臣の相”にぴったりくるように夜中、大君の寝所に忍んでホクロを刺青したりまでするのに)。たとえ歴史的事実は動かせないにしても、この展開は伝奇ものとして芸に欠けるな。
この短評にはネタバレを含んでいます