ママはレスリング・クイーン (2013):映画短評
ママはレスリング・クイーン (2013)ライター3人の平均評価: 3.3
音楽はジョニー・トー映画の作曲家、と何気に豪華。
『フル・モンティ』パターンのブルーカラー一念発起コメディ。田舎町のレジおばさんが、本場メキシコからやってきたルチャ・リブレのプロと、たった数カ月で大舞台ゼニットで対戦…という無茶苦茶なハナシだが、女性陣の健闘あってそれ相応に燃える出来。トリュフォー映画のミューズN.バイが、ダース・ヴェイダーの真似したり『ワンダーウーマン』のコスプレで滑空する映画としても記憶されるだろうし、いかにもヒール顔だがベイビーフェイスにこだわる肉屋さんC.マシエロも素晴らしい(『マルティニークからの祈り』では看守役でチョン・ドヨンを苛め抜いてます)。名優A.デュソリエがコーチ役だが、今回は彼女らの引き立て役どまり。
奇抜なアイデアが心温まる人情話に着地!
ワケあって息子と離れて暮らす女性ローズが息子とコネクトするためにプロレス挑戦を思いつく時点では短絡的すぎない?と思う。でも周囲をどんどん巻き込む彼女の情熱に魅了され、母性愛の強さに感動させられる。ローズに賛同する仲間たちが抱える事情も同性として共感できるし、練習するうちに本当の自分に気づく展開も心地いい。奇抜なアイデアを『リトル・ダンサー』的な人情話に着地させた監督の手腕に拍手。また何よりも感心したのが女優たちのレスラーっぷり。技やロープ使いを見ると相当、訓練したもよう。これぞ女優魂。ナタリー・バイの宙づり、コリンヌ・マルシェロのクラウザーさんメイクと見どころたっぷりだ!
大竹しのぶがめちゃイケ日本女子プロレスに出る感じ?
タイトルから予想出来る内容で、新鮮味はない。英映画『フル・モンティ』や『カレンダー・ガールズ』の流れを組む、苦境にいる人たちが、体を張って一発逆転を狙うコメディだ。だがその一人に、ナタリー・バイを引っ張りだして来たところに★1つ追加。トリュフォーやゴダールら巨匠から、カナダの気鋭監督グザヴィエ・ドランまで引っ張りだこの仏の名女優だ。その彼女がワンダーウーマン風衣装でキャットファイトを演じるとは。しかもショーのクオリティーたるや、゛めちゃイケ日本女子プロレス゛に引けを取らない完成度だ。
つまり見どころはクライマックスのプロレスシーンのみ。それでも十分、映画料金分の満足度は味わえるだろう。