トカレフ (2014):映画短評
トカレフ (2014)結局、自分でおとしまえつけるしかないんだよ。
ここしばらく“頼まれればなんでも出るんかい!”的スタンスが伺え、玉石混交が甚だしいN.ケイジだが、これは間違いなく「玉」。かつてギャング仲間だったゴツい中年男たちが非情な手段で復讐に乗り出す…というのはJ.-C.ヴァン・ダムの傑作『レクイエム』を想起させるがそれも中盤までで、単純な復讐劇には進まない。ケイジの娘を襲ったソ連式拳銃トカレフは、ケイジたちの過去にこそ照準を当て、善と悪、正義と不正義を改めて洗い直し、因果応報の裁定を下すこととなる。動揺し続ける心理をしっかりすくいあげる練られた脚本、アンジェイ・セクラのクリアな撮影、とりわけキレのいいノワール演出を見せるパコ・カベサスは今後要注目。
この短評にはネタバレを含んでいます