GONIN サーガ (2015):映画短評
GONIN サーガ (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
雨の日は血の日、そして涙の日
『GONIN』から20年、冒頭で人間関係は説明されるが、前作を見ていないファンには少々ツラいか。それでも石井隆監督ならではのギラギラした叙情は強烈に映るだろう。
20年前に子どもだった男たちが、それぞれの立場から亡き父の復讐に立ち上がる。暴走する彼らの危うさはスリリンクで、同時に痛切。皮肉な運命に導かれる惨劇の夜は決まって雨降りだが、そんなビジュアルにロマンを抱かせる石井美学に酔いしれた。
女性キャラはか弱くもしたたかで、男との生理の違いをわきまえた石井美学が匂い立つ。男優陣の熱演はもちろん、カミソリのような存在感を放つ土屋アンナの好演にも注目したい。
いろいろ欠点はあれど、それでもシリーズ復活を歓迎したい
石井隆監督の傑作バイオレンス『GONIN』の正統な続編。あの事件で人生を狂わされた子供たちのその後が描かれる。
そもそも前作自体が決して万人受けする映画ではなかったが、本作はさらに賛否両論分かれるだろう。子供たちが亡き親の無念を晴らすという話が続編の口実としてしか機能しておらず、それよりも監督自身の『GONIN』という作品へ対する愛着や、ようやくバイオレンス映画が撮れる!という熱い想いばかりが先行しているように感じる。
とはいえ、ファンとしてはそれだけでも満足。東出昌大の存在感が周囲に負けている、テリー伊藤の演技が稚拙過ぎるといった配役の弱点も、土屋アンナや井上晴美の好演で帳消しだ。