みんなのアムステルダム国立美術館へ (2014):映画短評
みんなのアムステルダム国立美術館へ (2014)ライター2人の平均評価: 4
期せずして、ますますF.ワイズマン的。
前作『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(’08、最初に結構長いダイジェストあり)に引き続き描かれる、美術館全面改修にまつわる収蔵品そっちのけのすったもんだ。相変わらず絶えぬ現場との対立、次期館長に落選したり一番のお目当てを落札できなかったりで自信を砕かれる学芸員たちもいる中、「僕、日本から金剛力士像招いちゃったもんね」とひとり上機嫌な仏像オタクのアジア館部長が笑える。でもやはり最も興味深いのは、「名だたる自転車道を文化財の下に規制するのは恥!」とまで言い切るに至る宿敵・サイクリスト協会との、否応なく民主主義のありかたを考えさせる(あえて言えば珍妙な)バトルである。
10年がかりの改修も納得のモメっぷりに民主主義を見た
レンブラントの「夜警」を見たくてオランダ行きを計画したら、アムステルダム国立博物館が改修中。昨年4月まで10年がかりで改修工事を行っていたのだが、長過ぎない? という私の疑問がこのドキュメンタリーで解けた。トップダウンでプロジェクトが進む日本式と違って、市民団体が建築計画にノーをつきつけたり、館長と内装家が対立したりと喧々諤々。芸術とサイクリストが相容れるか否かは別問題だが、国立に国民の声が反映されて当然という民主主義が素晴らしい。東京オリンピックも見倣ってね。モメ事をよそに収蔵品の修復や整理に邁進するスタッフのプロフェッショナルな仕事ぶりも好感度大で、来夏の旅行はオランダで決まり!