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サンバ (2014):映画短評

サンバ (2014)

2014年12月26日公開 119分

サンバ
(C) Quad - Ten Films - Gaumont - TF1 Films Productions - Korokoro

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

ミルクマン斉藤

オマールとシャルロットのコンビは魅力的だが…。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

フランスの排外主義的な移民政策の理不尽さを衝く、かなりシリアスな内容。『最強のふたり』のトレダノ&ナカシュ&O.シーをもってしてもこの題材を笑いに転化するのは難しかったようで、唐突かつ説明不足な展開がいささか目立つ(なぜシーは収容施設に入れられたのか? なぜ彼は浅薄にも友人の恋人と寝てしまうのか?…等)。そんな中、売れっ子T.ラヒム演じる“ブラジル人を装ったアルジェリア人”は苦境にありながらも陽気なキャラで儲け役。さらに最高なのは、「愛と呼ぶものと共に悪と闘う!」とボブ・マーリーを歌い踊る、移民支援NPOのエレーヌ・ヴァンサンばあちゃん(『人生は長く静かな河』『ぼくを探しに』)だ!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

題材そのものは結構シビアなヒューマン・コメディ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ビザの失効でフランスからの国外退去を言い渡された移民青年サンバ。そんな彼に救いの手を差し伸べる少々ワケありな人々を、困っているはずの彼が逆に、ある意味で救っていくことになる。
 基本的には暖かなユーモアを散りばめたコメディだが、同時に移民たちの置かれた厳しくも切実な状況、ストレスを抱えた現代人の疲れきった心にも目を向けていく。題材そのものは結構シビアだ。
 スクリーンに登場するだけで人柄の良さが伝わってくるようなオマール・シーの魅力もさることながら、オドオドとした情緒不安定な中年女性を演じるシャルロット・ゲンズブールも絶妙で、この2人の不器用な恋愛ドラマを微笑ましいものにしている。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

『最強のふたり』とは似て非なるもの

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『最強のふたり』の監督・主演コンビが放つ新作となれば、同様の温かいヒューマニズムを期待してしまうところだが、それを望み過ぎると肩透かしを食らう。

 運悪く不法移民となったアフリカ出身・フランス在住の青年が、持ち前の明るさで周囲と絆を育むのは期待通り。しかし辛辣さを含んだ結末に、とまどう観客もいるだろう。この辛辣さが、移民問題に対するメッセージとして受け止められるか否かが評価の分かれ目だ。

 主演のオマール・シーの愛されキャラは今回も光っている。一方で、くたびれた中年女性という珍しい役に挑みつつチャーミングさを失わない、シャルロット・ゲンズブールの輝きに魅了されたことも付け加えておきたい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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