イタリアは呼んでいる (2014):映画短評
イタリアは呼んでいる (2014)ライター2人の平均評価: 4.5
見る前にイタリアン・レストランの予約をお勧めします。
スティーブ・クーガンが友人ロブと新聞記事のための美食旅に出るシリーズで、構成は前作同様。美食と素敵ホテル、詩心を誘う風景に達者な物まねとシニカルなユーモア、そして中年男性ならでは危機感が絶妙なスパイスとなる。まだ現役?と確かめたくなったロブの心のざわめきも思春期の息子に父親としての務めを果したいスティーブの決意も些細に見えて実は切実だよねと同世代としては心底、共感する。ロブお得意のヒュー・グラントや微妙なアル・パチーノの物まねをはじめ映画ファンなら爆笑必至のネタ満載だし、イタリア料理やワインが実においしそうで思わずお腹がグー。見る前にイタリアン・レストランの予約をお勧めします。
人生後半戦の緩やかな24アワー・パーティー
まるでおっさん二人の『ビフォア・ミッドナイト』。監督はウィンターボトムだが、スティーヴ&ロブという“本物”の芸風に任せたのが勝因。英国の愉快な中年男コンビがイタリア旅行しながら食べて、喋って、ちょびっと恋の罠にもハマッてみる。
基本はチャラい業界人の珍道中だが、基調は“男の黄昏”感で、くだらない光景にこそしみじみ泣ける。むろんこの旅はヨーロッパ文化の厚みを探索する属性も帯びる。
「95年に感傷旅行だ」と言ってA・モリセットを聴く所は印象的だが、別のシーンでは“オアシスやブラーの時代”を懐かしむ台詞も。本作の異国ロマンの裏側には、クール・ブリタニアへの郷愁が貼りついている気がしてならない。