ヒロイン失格 (2015):映画短評
ヒロイン失格 (2015)ライター3人の平均評価: 3
陰陽極端な前半はそれはそれで買い。
2ページにひとつ大コマがある無粋な漫画のような演出や、ほぼすべてをナレーションで語ってしまう脚本には辟易するが、それも許せる気にさせるのが桐谷美玲のコメディエンヌぶり。間断なく要求されるオーバーアクトに余裕の顔芸で応えて見事の一言。彼女以外にもメガネっ娘の複雑な心象を真摯な演技でこなす我妻三輪子はめっけものだし、恐るべき精度でクールなツッコミを入れまくる福田彩乃など女性陣が光る。ただしこのノリは長く続かず、後半は笑えもキュンともしない陳腐な恋愛劇に堕するのが惜しい。また「とてつもないイケメン」役の坂口健太郎が全くそう見えないのも苦しいな(ただし次作『俺物語!!』ではちゃんとそう見えるのだよ)。
英勉監督が得意ジャンルに戻ってきた!
『高校デビュー』の英勉監督が少女マンガ原作に戻ってきたことは喜ばしく、『ハンサム★スーツ』から続く、遊び心たっぷりの演出、いい意味でTVバラエティ的ノリは、本作でも健在だ。悪名高き『貞子3D』シリーズと比較にならないほど活き活きし、原作の売りだった変顔をノリノリで披露する原作のモデルになった桐谷美玲も、ついにメジャー作品の恋敵役まで上り詰めた我妻三輪子もいい感じだ。あくまでも、中盤までは…。修学旅行に突入する後半では、なぜかその遊び心が一気に失速。『アオハライド』の胸キュンにも遠く及ばず、総合的に平均的な少女マンガ映画化に終わってしまった。普通に、ラブコメで112分の尺は長すぎです。
恋愛感情の痛いところを遠慮なく突いてくる率直さが◎
なかなか振り向いてくれない幼馴染の一匹狼男子か、それとも自分を好いてくれる学校一のイケメン男子か。そんな2人の間で揺れ動く女子高生のドタバタ恋愛模様を描く。
王道的ラブコメのあるあるネタを逆手にとった自虐的ギャグの数々にニヤリ。それって本当の愛情なのか、それとも単なる自己満足や独占欲じゃないのか、恋に恋しちゃいないか、人間をルックスや評判で判断していないかなど、ズバズバと痛いところを突いてくる率直さも共感できる。
それでいて、きっちり胸キュン要素を押さえているところも秀逸。唐突だけど絶妙な豪華ゲストの一発ギャグも含め、ラブコメが苦手な男子でも十分楽しめるはず。デートムービーには最適かも。