ジョン・ラーベ ~南京のシンドラー~ (2009):映画短評
ジョン・ラーベ ~南京のシンドラー~ (2009)ドイツ側から南京事件を考える
国際委員会メンバーの一人として人道的活動を行った独人ジョン・ラーベの視点から描いた南京事件。ベースは彼の日記。原作本「南京の真実」と比較すると、だいぶ強姦場面が軽減されている印象だ。一方でドラマティックに仕立て上げている箇所や、出典を巡って疑惑の的となるニュース映像を盛り込んでおり、ツッコまれる余地も多々ある。それでも日中間のみで論じられるこの事件を、別視点から再考する貴重な作品である。
ちなみにラーベはナチス党員だったことから一時期収監され、長らく日記は非公開だったという。独人がいかに戦争責任と向き合い、映画を製作しているか。そんな作り手の姿勢をも感じさせてくれる作品である。
この短評にはネタバレを含んでいます