ハイネケン誘拐の代償 (2014):映画短評
ハイネケン誘拐の代償 (2014)ライター2人の平均評価: 2.5
なんか行き当たりばったりなんだよな、この犯行。
冒頭から80年代初頭、不況時のアムステルダムを強く印象づける。所持する土地をヒッピー・コミューンに不法占拠され実力行使で殴りこむと逮捕、経営の傾いた会社のため銀行に融資を申し込みに行くと断られ、街の大企業の社長誘拐計画を立ち上げる共同経営者5人組。でも主犯の義父は元ハイネケン社員で、古い街らしく馘になりながらもいまだに社長への恩義を感じていたりするのだ。そんな人物にどこかツメの甘い犯人たちが敵うワケもなく、結局この映画も出番の少ない社長=A.ホプキンズが余裕のうすら笑いを浮かべつつ全部持っていっちまう。それにしてもラストの“その後”テロップ、ホンマかいな。特にJ.スタージェス!
負け犬はどう転んでも負け犬にしかなれない?
会社の倒産で行き詰まった5人の共同経営者たちが、愚かにも身代金目的の誘拐を計画する。しかも、ターゲットは世界的な大企業ハイネケンの社長だ。
‘83年にオランダで実際に起きた事件が題材。素人誘拐犯に過ぎない三流ビジネスマンの若造たちが無残に内部分裂していく一方、彼らの不安や焦りを見透かして薄笑いまで浮かべる肝の据わったハイネケン社長。負け犬はどう転んでも負け犬にしかなれないことを思い知らされる。
ただ、せっかくA・ホプキンスをハイネケン役に充てておきながら、ことのほか出番が少ないのは残念。狡猾な老人VS未熟な若者集団の心理的駆け引きをもっと掘り下げれば、よりスリリングな話になったはずだ。