ロスト・リバー (2014):映画短評
ロスト・リバー (2014)ライター2人の平均評価: 3.5
リンチとレフィンのDNAは確かに感じるね。
カンヌ国際映画祭で賛否両論と聞いていたので、期待値が低かったのが功を奏した? 閉塞感と絶望しか感じられない世界に生きる母子が希望を見いだせるかというテーマはかなり意欲的だし、『ドライブ』と『オンリー・ゴッド』で組んだニコラス・ワインディング・レフィンとデイヴィッド・リンチの影響が大きい映像美はなかなかに魅力的。しかもエヴァ・メンデスやベン・メンデルソン、シアーシャ・ローナンら出演陣も豪華。でも話がとっちらかってるのが難点。監督デビュー作で情熱が先走ったね。とはいえ血まみれバーレスクや不思議すぎるラップダンスの一種といったアイデアは、独創的かつコミカルで嫌いになれない。次作に期待かな。
その底には甘美な夢想が潜んでいる
この美しさには、常に凶事の予感が潜んでいる。何か悪いことが起きてしまいそうで、手放しで陶酔することが出来ない。色彩と構図が、すべて鮮烈。ほとんど人が住んでいない寂れた町。無人で走行する燃える自転車。夜の誰もいない道を走る少年。少年の母が働く奇妙な快楽施設。湖の底に沈んだ恐竜ランド。監督・脚本は、これが初挑戦となるライアン・ゴズリング。闇の濃さ、極彩色のネオン、過激な暴力は、ゴズリングが出演した「ドライヴ」「オンリー・ゴッド」のウィンディング・レフン監督作を思わせるが、この映画にはあの監督とは違う、どこか幻想的なスウィートな夢の気配があり、それがどんどん濃厚になっていく。