虎影 (2015):映画短評
虎影 (2015)ライター2人の平均評価: 3.5
ウンコをバカにしちゃいけない
どこからどう見ても日本人のポルトガル人が狂言回しとして登場することからも察せられるように、正統派の忍者映画というよりはそのパロディ。おバカな下ネタやバッドテイストなエログロ、さらにはシュールなミュージカルまで織り交ぜつつ、「仮面の忍者赤影」に代表される昭和の特撮時代劇にオマージュを捧げた作品だ。
なので、斎藤工が市川雷蔵ばりにクールに決めてくれる本格時代劇を期待すると“おや…?”となるだろうし、あえて狙ったであろうチープなVFXや壺女をはじめとする秘宝館的悪趣味にも当惑させられるかもしれない。でも、話の主軸となる家族愛には結構説得力あり。ウンコをバカにするな!はまさにその通りである。
マニアだけでなく、家族で楽しめるプログラムピクチャー
往年のドラマ「仮面の忍者 赤影」にオマージュを捧げた、まさかのファミリームービーにして、『RED SHADOW 赤影』を軽く超えた荒唐無稽な面白さ。「走れメロス」的なストーリー展開のもと、人柱ボードや人間手裏剣、竹製パワードスーツなど、無茶苦茶なガジェットや必殺技が登場するのは、西村喜廣監督作ならでは! これまでは2時間近い尺ゆえから息切れ感が否めなかったが、本作は93分に収めたことでプログラムピクチャーとしての醍醐味が増し、子供も飽きないベストな仕上がりだ。もちろん、監督と旧知の関係であるゆえ、ノリノリで虎影を演じた斎藤工の功績も大きい。最近からのファンを驚かせようと狙った悪ノリ感も素敵!