ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 (2016):映画短評
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 (2016)ライター3人の平均評価: 4
大人にこそ夢と希望を与えてくれる珠玉のファンタジー
J.K.ローリングのオリジナル脚本による最新作は、基本的世界観を『ハリー・ポッター』シリーズと共有しつつ、よりアダルトな層へ向けたファンタジーとなっている。
舞台はアメリカが初めて大量消費社会へと突入し、貧富の格差が広がった’20年代。経済的繁栄の裏側で多くの労働者や移民が貧困以下の生活を強いられた。そんな世相を背景に、魔法界でも人間界でも居場所のない4人が力を合わせて危機に立ち向かう姿は、21世紀の今を生きる大人にこそ夢と希望を与えてくれるはずだ。
ジャズエイジのノスタルジックな雰囲気もいいし、ユーモアたっぷりの魔法動物たちも魅力的。ラスボスとして登場するサプライズゲストにもビックリ!
ニュートが津崎とカブるんです。
“いかに『ハリポタ』の観客を喜ばせるか”が、カギとなる新シリーズ。そういう意味では、決してスピーディーといえないテンポや独特な色調、主要キャラのチームプレイなど、見事なまでに踏襲。しかも、“あの人”演じる『死の秘宝』キャラがいきなり登場するなど、アンチ『ハリポタ』派には厳しい仕上がりだ。とはいえ、それを覆しそうなのがエディ・レッドメインの魅力。常にハニカんで、狙いか、天然かよく分からないニュート。銀行や宝石店のシーンで、後の仲間になるジェイコブの戸惑いが痛いほど分かるのだが、これがイヤミに見えない。若干「逃げ恥」の津崎とカブる、母性本能くすぐりまくりキャラで、残り4作を引っ張ってくれそうだ。
マダツボミを肩に乗せて歩きたくなる
ポケモンGOが世界中を席巻した夏が過ぎ、そろそろ落ち着いた今、マジカルな生物たちがトランクから逃げ出して街中に出現するーーーって、それ、タイミング良すぎ。発生地が違ってもマジカルな生物たちにはどこか共通点があるらしく、このビーストはあのポケモンと進化の過程のどこかで接点があるのかも、などと推測しながら見るのも楽しい。
監督が「ハリー・ポッター」シリーズ後半を撮ったデヴィッド・イェーツなので、時代は遡っているが、映像の色調もテイストもあのシリーズのまま。"心の純粋な魔法使い"、"不思議な出来事"、"実はミステリー"という基本要素もそのまま。主人公は違うが、きっちりあのシリーズと繋がっている。