過ぐる日のやまねこ (2014):映画短評
過ぐる日のやまねこ (2014)信州の豊かな大自然に心癒される小品佳作
田舎から都会へ出ていくことを夢見る少年と、都会から田舎へ舞い戻った女性が、奇妙な心の触れ合いを通して、お互いに愛する者を失った喪失感を癒す。
森の中に棲むとされる伝説のやまねこがストーリーの重要な鍵となっているのだが、ロケ地である信州の美しくも豊かな大自然がほどよい伝奇的ムードを醸し出し、どこか懐かしい日本の原風景を垣間見るような心地良い世界を作り上げていく。
また、変に田舎社会の閉塞感やら息苦しさやらを強調するのではなく、田舎だからこその時に面倒くさいけれど素朴で大らかな人々の営みをさらっと描いている点も好感が持てる。信州生まれの筆者だが、久しぶりに田舎へ帰りたくなった。
この短評にはネタバレを含んでいます